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『私の家に、新しい家族が来ました』8





ちょっと短いですが、更新。



ここから、解明されていく。


  ―― 私達が何も知らないなんて、思わない事ね。






 突然現れたその二人。否、時間からしてそろそろかもしれないとは思っていたが。
 腕を組んで自分達を見ている二人。思わず慎は苦笑を浮かべた。
 「……お早いお帰りで。連絡ないから、遅くなるとは思わなかったけど。」
 若干皮肉をこめて言ってみる、通じないとは分かっていても。
 「えぇ、帰ったわよ。時間通りにね。
  貴方の奇跡は、残念ながら起こらなかったみたいだけど?」
 そう言うなり、すっと近づき慎の額に軽くデコピンを食らわせる。
 ピシッ!と言う軽い音が部屋に広がる。その瞬間、煉斗は少し驚いた。
 その驚いた様子を見て、隣にいた聖は苦笑する。
 別にお前にはしないよ、と言うように煉斗を見つめていた。
 「聖、さん……詩織、さん……。」
 弱々しく、二人の名前を呼ぶ時兎。その顔にはやわらかく笑みが浮かんでいる。
 「ごめんなさいね、すぐに出るべきだったけど。
  貴方が全て話してから、出た方がよかったと思って。」
 「よかったと思ってって、まさか……。」
 詩織の言葉に、冬摩が問う。その表情は驚きの色も混ざっていた。
 すぐに出るべき、と言うと必然的に先程まで自分達の会話を聞いていたと言う事になる。
 それもそうだ、時兎が二人に助けられたと言うのなら彼らも一緒にいた計算になる。
 こんなにフラフラしている奴を、先に帰すなんてまず聖が許さないだろう。
 詩織は、冬摩の言葉にはフッと鼻で笑った。
 「そ、あんた達の様子を見させてもらったって事。
  私に無断で、勝手にそんな事しちゃうんだから。お仕置きって意味で。」
 下僕も気にしていたみたいだしね、と付け足して横目で聖の方を見る。
 聖は、困ったように笑いながら皆に話し始めた。






 聖が疑問を持ち始めたのは、瑠姫と冬摩が猫の事をごまかしたあの時からだった。
 仕事中はなるべく私情を挟まないようにする、と決めてはいたものの
 あんなに不自然に誤魔化されたら、気になっては仕方ない。
 と言っても、なかなか家に帰れないし慎にメールをしても何も答えてくれない。
 今更反抗期か、と心配になっていく聖。
 仕事を終えた後、着替えるや否やすぐに詩織に連絡した。
 『……反抗期って、あんたどれだけ心配なのよ。』
 電話をし、相談するや否や帰って来た言葉。声色からしてかなり呆れていた。
 「すまん、詩織。どうしても気になってな。」
 『すっかりパパ気質がついたのはいいかもしれないけど、彼らだってもう大人なんだから。
  あんたがそんなに心配する必要はないと思うけどね……。』
 詩織の事だから、こう帰ってくるのは覚悟の上だった。
 だが、どうしても気に掛かる。二人ならともかく今回は慎も煉斗も隠しているようなのだ。
 別に病気などは隠している様子はない。皆、健康そのものだ。
 でも、言葉の断片から連想されるのは生き物関連。しかも冬摩のあの安心したそぶりは滅多に見れない。
 となると、彼らは動物に関係する何かを隠しているかもしれない……。
 あくまで推定だが、聖の中ではそう思っていた。
 それを伝えると、詩織は何その探偵ごっこ。と聖に返す。
 だが声色を聞く限り呆れつつも、それとなくは納得しているようだった。
 『そうね、冬摩は結構感情的。特に動物に関しては、ね。
  ……だけど、私達に隠し事なんていいご身分だ事。ちょっと納得いかないわ。』
 どうやら、ごまかしよりも自分がのけ者にされた事を怒っている様子。
 それはそうだ、詩織はホームステイの主催者でありレストランのオーナー。
 そして何よりも、楽しそうな事に目がない。彼女にはそれが楽しそうな事だと認識されたらしい。
 こっちは真剣に悩んでいるだが、と突っ込みそうになったがあえて突っ込まずにいた。
 昔からの仲、突っ込んだら突っ込んだらで分かってるわよ。と返されるに決まっているから。
 「ま、お前ならそうかもな。しかも、煉斗も絡んでいるとなると。」
 ははは、と軽く笑いながらも聖は言う。
 最愛のお気に入りである煉斗の名前が出ると、一気に詩織の声色が変わった。
 『そうよっ!最近慎は煉斗がお気に入りみたいだけど、
  煉斗を気に入ったのは私が先なんだから、独占なんて許さないのっ!』
 ずるい!と言わんばかりに叫ぶ詩織。これでも30代前半の発言である。
 いや、独占とかはしてねぇけどな……。と心の中で思う聖。
 煉斗は詩織のお気に入り、確かに取られたら腹が立つのは分かるけれども。
 男は男同士で、色々あるんだよと言っても聞くタチではないからあえて言わなかった。
 「ともかく、合流したらまた相談しよう。
  今日、会う約束なんだろう?……あの子と。」
 『あ、そうね。そろそろ時間みたいだし。
  もうすぐ着きますってメールも来たから、あんたもすぐ来なさいよ?』
 これは命令!と付け足して詩織は聖に伝える。
 詩織のその言葉には、若干笑みを含ませながらも聖は返した。
 「それなら大丈夫、もうすぐ着くぜ。」
 そう言って、窓の外を見る。遠目から看板が見える。
 赤と緑の文字で書かれた『アンジェリカ』の文字。
 それじゃ、と電話を切り、片手で携帯を閉じる。
 横に置くと、そのままエンジンをかける。そしてゆっくりと車道の方へと車を走らせた。
 どうやら、車の中で会話をしていたようだった。
 交通マナーは絶対守る、それが聖の信念でもあったから。






 

 レストラン、『アンジェリカ』の個室。
 自己流イタリアンとして有名なその店は、詩織とオーナーが顔見知りと言う事もあり
 彼らはよくご飯を食べに来ていた。
 今日は、殆ど会話目的と言う意味もあって個室を特別に用意してくれたのだ。
 料理を口に含みながら、彼らは会話をしていく。 
 聖は詩織の隣に座り、前には……神妙な顔つきの時兎が座っていた。
 先程、煉斗と会話していた時のテンションは一切見せなかった。
 「で、またアイツが瑠姫を狙っているかもしれないって?」
 ワインを口に含みながら、詩織は時兎に問いかける。
 「はい、メールで話した通りです。
  今までは貴方達がいる。と言う事もあってなかなか手が出せずにいたようですが。」
 「それもそうね、本来ならアイツはいつ逮捕されても可笑しくない身分だもの。
  実力行使なんてしたら、それこそ豚箱行きよ。」
 丁寧に話す時兎。それを当然だと返す詩織。
 同じ女として、瑠姫も大事に思っている詩織。自分自身で独立はし始めているものの
 叔父の執念は深く、いつだって傷をえぐるように瑠姫に接近してくる。
 最低限の守りは瑠姫はしているつもりだが、詩織から見たらどうも爪が甘い。
 そう言う意味で、慎や冬摩には「なるべく気をつけてあげて。」と伝えてはいるのだが。
 最近では、彼女の夫にも「万が一はお願いします。」と頭を下げていた。
 恐れているのか、彼らが傍にいる時は叔父は近づかない。
 時兎曰く、「自分より強いものには絶対に近づきませんから。」との事。
 自分が弱いと分かりつつも、瑠姫に対しては下に見ているかもしれない。と彼らは思っていた。
 いつものふざけた様子は見せない時兎は、料理を口に含みながらも語っていく。  
 「……これが、アイツの母親から特別に見せてもらったメールです。」
 そう言い、自分の携帯の画面を二人に見せる。
 絵文字こそはないものの、乱暴な口調で書かれたメールを二人は見る。
 
 


 Time:2012/ 2/18 19:30
 From:息子
 Sub:無題
  


  どーやら、時兎の馬鹿がいーもん手に入れてくれたみたいだぜ。

  これ使えば、瑠姫も納得してくれるってもんよ。

  これで俺は、瑠璃さんと結婚できる!アニキとも別れてくれるってもんだ!!

  なんせ、瑠姫はママを大事にしてるみたいだからさ。


  俺は、本当の親子になりてぇんだ。

  だからさ、また金貸してくんねぇか?

  今度は、失敗しないからよ!!





 「……結構前からね。このメール。」
 画面を見ながら、自然と眉間に皺が出来る詩織。
 二人が読み終えたのを確認すると、時兎は一度携帯を自分の下へと戻した。
 「アニキともって、兄とも思ってない奴がよく言える口だな。
  ……失礼かもしれないが、瑠姫と血が繋がってないのが幸いと思える。」
 表情では見せないものの、聖の口からは怒りの声がこもっている。
 そう、実はあの男と瑠姫は血が繋がっていない。彼はあくまで養子であった。
 瑠姫の父親が、反抗期で自分の思い通りにいかない事を苛立った両親が
 自分達の言う事を素直に聞く子を欲した。それが彼である。
 言う事を聞けば金も貸してくれるし優しくしてくれる、それを分かっていたあの男は
 今でも、親から盛大に甘やかされていると言われている。
 それ故、瑠姫の母親との結婚も賛成していた。むしろ実の息子には早く別れろと言わんばかりに。
 このメールを受け取った直後、母親はすぐにお金を下ろして男に渡したらしい。
 「正直、狂ってるとしかいいようがないと言うか……。
  瑠璃姉に見せたら、ここまでするかって呆れてました。」
 アイスティーのストローを掻き回しながら、時兎は言う。
 脳裏に浮かぶ自分の姉の姿。自慢の姉だからこそあんな男に渡したくない。
 そして、姉が選んだ男は行方を晦ませたかもしれないが、自分が心から尊敬する男。
 だからこそ、許せなかった。このメールを嬉しそうに見せた男の母が。
 「ところでいーもん、ってなんなんだ?
  姫を脅すには、かなり効果があるものだと俺は捕らえるが。」
 聖の言葉には、若干言葉を詰まらせる時兎。
 だが、ここまできたならもう引き返せないと時兎は携帯を弄り始める。 
 そして、画像フォルダにある一枚の写真を見つけると、再び二人に見せた。
 その写真を見ると、詩織の表情が自然と緩んだ。聖に関しては疑問の表情を浮かべている。
 「あら、かわいらしいじゃない!」
 「だな、だけどそれが何の関係があるんだ?」
 二人の違う意見。そこに映し出されていたのは……子猫の写真だった。
 黒と白の毛並みが綺麗な、まだ幼い子猫の写真……。






 「ちょっと待った!」
 聖の話を、一度煉斗が遮る。
 その叫びと共に、思わず立ち上がってしまう。
 話を遮られ、いやな顔はせず聖は何だ。と煉斗に問いかける。
 「まだ幼い子猫って、もしかして……。」
 驚いた表情のまま、煉斗は時兎を見る。
 時兎は、申し訳なさそうに煉斗を見ながら小さく頷いた。
 慎は慎で、やっぱりねと言わんばかりに呆れた表情をしていた。
 「考えてる事と正解よ、煉斗。
  ま、とりあえず最後まで話は聞きなさい。ね?」
 いつのまにか、煉斗の隣に座っていた詩織は言う。その言葉は、冷静だった。
 納得しつつも、何処か納得いかないように時兎を見つめる煉斗。
 渋々座り直す煉斗を見ながら、聖は再度続けた。






 「それが、関係あるんです。瑠姫には。
  ……ある意味、瑠姫にとっては大きなダメージともなります。」
 時兎は、猫の写真を見せながらも二人に言う。
 そして、今度は別の鞄からある一つの写真を取り出した。
 そのまま携帯の横に並べるように、写真を差し出す。
 「……!!!」
 その写真を見た瞬間、聖は絶句した。
 写真に映し出されているのは、幼い少女が子猫を嬉しそうに抱いている写真。
 そして写真に映し出されているのは……携帯の写真と瓜二つの子猫だった。
 「な、にこれ……偶然としても出来すぎてないかしら。」
 思わずぼそり、と呟く詩織に時兎は困ったように笑いながら言う。
 



   「えぇ、本当に出来すぎて、悲しいぐらいですよ。」








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myuu-0240

Author:myuu-0240
AnAnやQMA等、アーケードゲームに侵食されている

中身の日記です。

基本、色々だべっててまとまりはない←





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カードデータ等はデータ参照で

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(2,20更新)





雑食が酷くなってる今日このごろ。どうしよう(ぁ)




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