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「私の家に、新しい家族が来ました。」5






せめて最悪10までにはまとめたい←
今回は、少し短めかも。










 それは、確か1年程前の夏の日。
 お互い仕事がなく、瑠姫が「おいしそうなシャーベット買ったからお裾分け。」遊びに来ていた時だった。
 勉強の合間に瑠姫が持ってきた柚子シャーベットを食べていた時、
 ふとした事でお互いの家族の話になり、なぜかその話で盛り上がっていたのは覚えている。
 詳しくは覚えていないが確か、夏の思い出とかそういう内容だったはず。
 その時に、確か瑠姫はこう言っていた。
 「私の父も母も、弟がいるんです。
  父の弟…あの男は嫌いですが、母の弟とはよく遊んでいましたね。
  確か、母が結婚した頃に生まれたので年も結構近かったはずです。
  叔父と言うよりは、どちらかと言うと女の子の兄弟みたいな感覚でした。
  背も私とそんなに変わらなかったし、目もくりくりってしてましたから。
  まぁ本人は怒らず、むしろよく言われるって笑ってましたけど。」
 そう言って、楽しそうに笑いながら瑠姫は話し続ける。
 「でも、私が高校に入る頃には、向こうの都合で別の県に引っ越しちゃって……。
  最近は連絡もあまり取ってないんですけど、元気にしてるかなぁ。
  結婚式でちょっと話した以来、なかなか連絡取れませんし。」
 まぁ向こうも忙しいから仕方ない、そんな風に付け足して終わったのも覚えている。
 結婚式当日の冬摩は、準備に忙しく母方の弟とは会話する事もなく分かれてしまったからだ。
 ああ、確か当日ギリギリに駆け込んできた奴か。そのくらいの認識だった。
 その後は、冬摩の親の話などで盛り上がった為、それ以降話題に出る事はなかったのだが……。




 まさに、目の前にいる相手がそうだったとは。
 時兎(ときと)と呼ばれたその人は、瑠姫に名前を呼ばれ嬉しそうに微笑んだ。
 「お久しぶり、瑠姫。その様子だと元気みたいだね。
  俺、安心したよ。思わず嬉しくて抱き着きたくなるぐらいにさっ。」
 再度瑠姫をぎゅーっと抱きしめた後、我に返るように今度は話す。
 「あ、でも旦那さんに悪いかなー。もし会ったら謝っとかないとマズい?
  もしそうだったら、土下座とかしないとマズいかなー。
  流石に旦那さんだって男だもん。身内といえど奥さんが他の男に
  ぎゅーっとされるのって、印象悪いと思うしー。」
 放心する冬摩を尻目に、時兎は再びマシンガントーク並の会話をしていく。
 そんな時兎に、瑠姫はなれているのかにこにこと笑いながら続けていった。
 「大丈夫ですよ、彼には話してますから。理解はしてくれているかと。
  でも、出来るだけ彼の前では止めて欲しいかな。彼はともかく私がちょっと。」
 気にしないかもしれないけど、私は微妙。と言うように眉を潜める瑠姫。
 「分かってるって。流石に僕もそこまで空気読まずじゃないからねー。
  そこらへんは、本命にぎゅーっとやってもらいなよ。愛ある抱擁をさ。」
 「やだ、時兎ちゃんったら……。」
 にやにや笑う時兎にからかわれ、頬を赤く染める瑠姫。
 彼らから見たらいつもの光景だが、冬摩はおいてけぼり同然の状態である。
 しかし、何を言ったらいいのやら。とりあえずもう一つ思い出した事がある。
 その時瑠姫はいなかったが、聖が帰る前に冬摩に言っていた事が一つあった。
 当の本人は、子猫をごまかす事に夢中であまり深くは聞いてはいなかったのだが。





 「そういや、もう一人ホール入れるみたいだぞ。聞いた話では瑠姫の知り合いらしい。
  しかも、もしかしたらホームステイ増えるかもしれん。あくまでも予定だがな。」





 今思えば、かなり重要な発言である。何故忘れていたのか。
 しかし、まさか目の前にいる相手がそうであるとは限ったわけではない。
 仮に、手には大きなキャリーケースがある。だがそれもあくまで旅行の一貫なのかもしれないし。
 だが、瑠姫は時兎がここにいる事に驚いていた。どっきりと言えど誰かに連絡はするだろう。
 頭の中で色々考えがぐるぐる回るが、解決する事はない。むしろ困惑するばかりだ。
 そんな冬摩に感づいたのか、時兎はマシンガントークを止めて冬摩の方を見る。
 そして今の状況に気づき、説明忘れてた。なんて呟いて冬摩に言う。
 「あ、ごめんごめん。この子放置しっぱなしだったね。
  いやー、嬉しさのあまりすっかり忘れてたよ。ゴメンゴメンッ。」
 ぽんぽん、と冬摩の肩を叩きながら時兎は言う。
 「ゴメンゴメンッてお前な……。」
 冬摩の眉間に皺が寄る。本来ならここで雷落とすほどに怒りたい事だが
 今さっきの事もあり、何かしら周りからの目線が痛い。雷を落とそうものなら相当目立つだろう。
 耳を澄ませば聞こえてくる、町の人の声。
 「なんだなんだ。」と言う声も聞こえれば、
 「何で女の子同士で抱きしめ合っているのか。」と言う声もちらほら聞こえてくる。
 後者に関しては、目の前にいるのは男なんだが。と突っ込みたくはなるのだが。
 「すみません、冬摩さん。時兎ちゃん、こういう癖が昔からあって……。」
 「昔からって、困り物の癖だな。それは。
  放置される俺の身にもなって見ろ。煉斗だったら慌ててるぞ。」
 キャリーケースをゆっくり押して、時兎に渡す冬摩。
 ありがとー、と呑気に返事をしながらも、時兎はキャリーケースを受け取る。
 「あ、煉斗君のもう一人のにーちゃんってもしかして君だったの?
  まさか煉斗君のホームステイ先の人にすぐに会えるなんて、今日は驚きいっぱいの日だねぇ。
  と言うか、もしかしたら結婚式の時に会ってるかもしれないんだよね。
  あの時は、仕事あったから顔出しちょっとしか出来なかったからなー…えっと。」
 時兎のマシンガントークを聞きながらも、冬摩は瑠姫の結婚式の時を思い出す。
 あの時は、冬摩は披露宴のセッティングや料理関係の相談に行っていた為、時兎が来ていた事は
 瑠姫から少ししか聞いていないのだ。だから直接会うのは始めてと言う事になる。
 そういえば、瑠姫は結婚式で身内は母親以外にあと一人だけ呼ぶ。とは言っていた。
 その知り合いがコイツとは。若干頭が痛くなったのは言うまでもない。
 「……冬摩だ。瑠姫とはホームステイ先で知り合った。
  こいつが結婚してからも、仕事先の同僚やら友人と言う名目で仲良くさせていただいている。」
 「なるほどぉ、どーも瑠姫がお世話になってますっ!」
 簡単な挨拶を終えた後、時兎は満足そうに頷いて手を差し出す。
 まぁ一応の礼儀は、と冬摩は静かに右手を差し出した。
 そのままお互いに手を交わした後、ところで、と冬摩は時兎に尋ねる。
 「それはいいが、何故お前はここにいる?
  キャリーケースを持ってる限り、旅行に来たとかか?」
 冬摩の質問に、時兎は口元に指を当てながらんー。と悩む仕草をする。
 「んー、まぁ仕事でね。
  近いうちに新しい仕事に入るから、面接がてらオーナーの人と会ってたってとこかな。」
 「時兎ちゃん、前のお仕事はどうしたんですか?確か地元でレストランの給仕してたって……。」
 時兎の言葉に、今度は瑠姫が疑問を投げかける。
 どういう事だ?と言うように冬摩が瑠姫を見ると、瑠姫は続けて答えた。
 「えっと、時兎ちゃんは私と同じフリーターなんです。
  と言っても、私は今は『Answer』では正社員扱いなんですが……。
  確か時兎ちゃんは、まだフリーターの状態だったはずです。ですよね?」
 「うん。前の仕事はちょっとした事情で止めちゃってさ。
  次どうしよっかって悩んでたら、テンチョーさんが次の仕事場にどうかって俺を紹介してくれたわけ。
  『Answer』って、確か俺が面接行ったトコなんだけど。
   ……やっぱ瑠姫が働いていたトコだったかぁ。」
 瑠姫の言葉に、時兎は問いを述べつつ苦笑いした。
 まさか、自分の職場に知り合いが面接に来るとは思わなかったのか、瑠姫も驚きを隠せないようだ。
 近々ウェイターを増やさなければ、と詩織は呟いていたがそれは数日前の事。
 姐さんはそこらへん仕事が早いな、と冬摩は改めて思った。
 「しかし、珍しいな。
  俺らの働いている職場の面接で、姐さんが直接面接なんて滅多にないんだが。」
 そう言う彼に、瑠姫も何度も縦に首を振った。
 時兎は暫く考え込んだ後、今度は分かるように言葉のスピードを遅めて言った。
 「何だか、直接会って欲しいってテンチョーがごねたみたい。
  詩織さんも忙しいみたいだから、俺は良いって言ったんだけどね。
  何度も謝ったら、詩織さんは『別に気にしない。』とは言ってくれたけどねー。」
 「更に珍しいな。あの人結構面倒くさがりなのに……。」
 腕を組みながら言う冬摩に、瑠姫は再び苦笑を浮かべる。
 苦笑を浮かべる辺り、図星であり否定出来ないのであろう。
 「でも、もしかしたら時兎ちゃんと仕事が出来るかもしれないんですね。
  そうだとしたら、ちょっと嬉しい反面もっとしっかりしなきゃなぁ。」
 あはは、と空笑いをする瑠姫。その様子に時兎はえ、と言う表情を浮かべる。
 「え、しっかりしなきゃって。瑠姫もしかして……。」
 「あ、違いますよ?別にヘマしちゃってるってわけじゃないんです。
  ただ、たまに業務中にも私情が顔に出ちゃう事があるって事で。」
 「まったくだ。客商売なんだからそこは治しておけとよく言われてるだろう。」
 冬摩の指摘に、瑠姫はむぅ、と頬を膨らませながら言う。
 「何ですかーもう、貴方だって女性が怖いからってホール出来ないくせに。」
 「今では大分マシになってるだろう。お前がいなくて尚且つ忙しい時にはたまに出てる。
  お前がキッチンも多少出来るようになったのと、同じぐらいだ。」
 「で、でもっ、慎さんがいない時はパフェとかは全般的に私が担当してます!!」
 「それは俺も同じだ。俺は仕込み以外にも結構任されてはいる。」
 「むー、その言い方ちょっとムカっと来ますよぉ!!」
 いつのまにか喧嘩口調になる二人、二人にとっては日常茶飯事なのだが
 討論がひどくなると慣れてない人からしたら慌てるレベルである。だが時兎はそうではないらしい。
 「ちょっとー、仲がいいのは分かったけど俺置いてかないでって。
  俺、ぼっちは寂しいから嫌いよー?」
 時兎の呑気な言葉に、二人はほぼ同時に「仲良くない(ですっ)!!!」と口を揃えて叫ぶ。
 それを軽く受け流し、時兎は若干ほっとしたような表情を見せる。
 その表情を見た後、今は喧嘩するべきではないと思ったのか冬摩は諦めの姿勢を見せた。
 同時に、瑠姫も落ち着かせるように深呼吸をする。
 「と言うか、その様子だと瑠姫ってばやっちゃったみたいだねぇ。
  一体何があったの?俺にも教えてよー。」
 興味津々と言わんばかりにずいずいと近寄る時兎に、冬摩は数歩後退する。
 何だこの慣れなれしい奴は、と言わんばかりの表情で、である。
 そんな冬摩を見ていても、時兎の興味は収まらない。
 見慣れているのであろう、瑠姫はため息をつきつつくだらない事ですよ。と付け足して話した。
 




  「簡単です、お客様の一人がペットがご主人様に逆らった事で
   愚痴っていた時の言い方がちょっと嫌だったんです。
   そのペットが、さっきは言ってなかったんですけど……黒い子猫だったものでつい。」





 子猫。と言う言葉を放った瞬間だった。
 否、明確には黒い子猫。と言う言葉を放った瞬間だったか。
 一瞬、時兎がびくっと体を揺らして驚いた。その表情は何処か固くなる。
 それも一瞬だった。何事もなかったかのように時兎はそうなんだ。と軽く流す。
 瑠姫は気づかなかったが、冬摩は何か感づいたらしく時兎をじっと見つめる。
 感づかれたのに気づいたのか、今度は時兎は冬摩の方を見ようとはしなかった。
 「ま、まぁしょうがないって。それならそれで瑠姫はペットを飼った時大事にしたらいいしさ。
  俺様なんてそこらじゅうたくさんいるよ?それを気にしてたらやってられないって。
  今度そんな話が来たら、気にしなきゃいいじゃん。ね?」
 明らかに誤魔化すかのように、アドバイスをする時兎。
 瑠姫は相変わらず気づいていないらしい。苦笑いをしながら頷いた。
 「そうですよね……すみません、ちょっと最近敏感になっていたもので。」
 「人間誰しもそんな事あるって!もし僕が入ったらそれも出来なくなるからだいじょーぶ!!」
 あはは、と軽く笑って瑠姫の肩を軽く叩く時兎。相変わらず、冬摩の方は見ようとしない。
 感づくべきではなかったか、と反省しつつ冬摩は呟くように話す。
 「ま、一緒に仕事が出来たら。の話だがな。
  俺んとこの職場は、ランチタイムは多忙だぞ。覚悟しておけ。」
 「分かってるって~、それは前の職場でも一緒だったからさっ!」
 冬摩の言葉には、時兎は目線だけ冬摩の方に合わせる。
 今度は感づいていない表情を見せていた為か、時兎は再び何処かほっとしたような表情を見せる。
 その表情も不自然なんだがな。と冬摩は思ったが口には出さなかった。
 「もし受からなくても、一度は遊びに来てくださいね?
  皆さん個性派揃いですけど、いい人達ばかりですから!」
 「おい、個性派ってどういう事」
 「おっけー!!じゃあ今度は手土産片手に来るよっ。
  瑠姫の好きなカルピスも、ボトルでたくさんもって来るからね!!
  オレンジも好きだっけ?ぶどうも美味しいし、もちろんノーマルも!!」
 瑠姫の言葉に反論しようとした冬摩を遮り、時兎は再びマシンガントークで返す。
 再度何か誤魔化されたようで悔しいのか、冬摩は頭を抱えつつ周りを見渡す。
 気が付けば、先程のギャラリーは殆どおらず騒動がなかったかのように皆すれ違っていく。
 五月蝿くなるよりはマシか、と心の隅で思う冬摩だった。






    …………そこに、ひとつの視線があった事には気づかぬまま。






 夜、家にて。
 冬摩は、リビングにてテレビを見ながらも考えていた。
 あの後、結局時兎はホテルの時間があるからと瑠姫達と分かれた。
 瑠姫はご飯ぐらい一緒に食べないか。と誘ったが、急いでいるからと言う理由で断ったのだ。
 結果は3日後ぐらいには来るらしく、その間はここにいるからその日のどれかにね。と言う約束を取り付けて。
 それまでは適当に観光とかしておく。と呑気に言った時兎に若干眉を潜めたが
 ちょうど瑠姫の機嫌も大分直ってはいたので、結果オーライと思っておこうと自分の中で解決づけたのだ。
 そんな瑠姫は、朝遊べなかった分にと自分の部屋で猫とじゃれている。煉斗は現在風呂に入っている。
 リビングにいるのは、紅茶を楽しんでいる慎と冬摩だけである。
 「(そういや慎と煉斗、俺が時兎と会った。って知った時、煉斗は驚いていたな。
   にーちゃんも会ったんだって。
   慎に関しては……何だか申し訳なさそうな顔してたな。ほんの少しだけ。
   まぁあんな奴だったら、あいつも苦労はするわな。想像は出来んが。)」
 そんな事を考えているのがバレていたのか、ふと気が付くと慎がじっと冬摩の事見つめている事に気づく。
 「……何見てんだ。」
 「いやぁ、弟が僕の事で何かしら変な事考えてるな。と思ったからねー。」
 飄々とした様子で言う慎に、変な事は考えてない。とふてくされたように言う。
 そんな冬摩の態度に、相変わらず冷たいね。と慎は軽く返した。
 そしてまた、テレビの方を見る。ニュースキャスターが、厳しい表情で文面を語って行く。
 内容は、明後日の午後に激しく雨が降るかもしれないから傘は忘れずに、と言う天気予報の内容であった。
 洗濯は明日のうちか…と呟く慎だったが、そのまま不意に冬摩に尋ねる。
 「そういえばさ、さっき僕に聞いてきたよね。」
 「……何がだ。」
 不意に尋ねられ、内容も感づかぬまま冬摩は軽く返す。
 「ほら、瑠姫が時兎と話していた時にいきなり表情を変えた事。」
 「あぁ、あの事か。」
 冬摩は、慎の言葉で思い出したかのように呟く。
 表情が変わった事は、慎にのみ話していた。瑠姫は気づいてなくても気づいてても身内を疑わないだろうし
 煉斗は、時兎を気に入ってるから逆に悩むだろう、となると、余計な事もはさむが
 的確な意見を言う慎が一番良い、と判断しての事だ。
 慎は最初は、煉斗達がいるから、とその場を交わしたが今はいないから、と言う意味で話題を出したのだろう。
 だが、その話題を出した張本人は何処か言いづらそうな雰囲気を出している。
 不思議そうに見つめつつも、慎の言葉を冬摩は待った。
 そして、慎は悩みつつも話しづらそうに意見を述べていく。
 「……僕の仮説なんだけど、もしかしたら子猫と時兎。関係あるんじゃないの?
  もしかしたら、別の子猫かもしれないけど。瑠姫が子猫って言葉を出した瞬間
  あんな反応されたら、誰だって疑うだろうし……。」
 慎の意見には、やはりか、と言うように冬摩は返す。
 「……俺も考えた。俺が感づいた時には、アイツ俺の方は暫く目線も合わせなかったからな。」
 「あくまでも仮説、だけどね。時兎はあれでも動物超大好きっ子だから
  ペット如き、とか言って、ペットに乱暴するタイプでもない。
  もしかしたら、近い過去に動物に関して何かあったのかもしれないし。」
 そう言って、ぬるくなった紅茶を飲み干す慎。
 今日の紅茶はあまり美味しくなかったらしく、この茶葉失敗かも、と言葉を付け足して。
 「……出来れば、そう思いたいんだがな。」
 眉を潜めながらも、冬摩は呟く。もし、この予感が当たったら、簡単な事では済まなくなりそうだから。
 ―― 今、瑠姫と遊んでいる子猫。あれは絶対に迷い子猫であって欲しい。
    そう、関わっているはずがないのだ。瑠姫の過去と。
 そう切に願いながらも、冬摩は暫くテレビの画面を見つめるだけだった……。






 同時刻、ホテルにて。
 時兎は、ベッドに寝転んだまま苦い顔をしていた。
 そしてチッと軽く舌打ちをして、見ていたスマートフォンを軽く横にほるように投げつける。
 スマートフォンは、軽く音を立てて時兎の手から少し離れた所に落ちた。
 油断した。と言わんばかりの表情で頭をくしゃり。と掴む時兎。
 瑠姫に会った事は問題ない、抱き着いてしまった事も問題はない。
 そして、子猫の事で驚いた所を見せてしまい、冬摩に何か感づかれた事も想定内だったから問題はない。
 だが、それよりも他に問題があった。それが先程まで見ていたメールだ。
 下手したらストーカーと間違われる文面で書かれていた、あのメール。
 一体いつから見ていたのか、それよりも何処で見ていたのか。
 あまりにも瑠姫に会った嬉しさからか、すっかり忘れていたあの存在。
 「(つか、俺のメルアド教えてないのに
   なんで、いつのまに見つけたんだ……アイツ。)」
 まさか、もう来ていたなんて。いつのまに来ていたんだ。
 否、いても可笑しくはないだろう。詩織曰く瑠姫のホームステイ先は知っているらしいから。
 起き上がり、乱雑にテーブルにあったペットボトルの水を手に取り一気に飲み干す。
 そして空になったペットボトルをテーブルに置いて、再びベッドに寝そべる。
 すると、軽快な着メロがスマートフォンから流れ出し、そっと手を伸ばしてスマートフォンを取り出す。
 文面を見ると、今度は安心したのかふぅ。と小さくため息が出る。
 メールは二通。一通は瑠姫から。一通は……詩織からだった。
 瑠姫や煉斗と会った事を送ったら、可愛かったでしょ、あの子ら。と惚気のメールが返ってきた。
 まぁその他にも、比較的真剣な内容もあったのだが。
 時兎は、その真剣な内容を返すメールをゆっくりと的確に打っていく。
 そして数分後、間違いはない事を確認して送信ボタンを押した。
 メールが送られるのを確認して、送信終了の画面を確認すると時兎はゆっくりと目を閉じて行く。
 内容は、こうだった。




 Time:2012/ 3/1 22:00
 From:tokky-tyan@XXXX....
 Sub:Re:Re:Re:状況は最悪です。


 えぇ、瑠姫と今度ご飯食べる約束もつけました。
 慎の料理は美味しいから。と。
 俺も知ってるんですけどね。同級生だったから。
 今日の『アンジェリカ』のお料理よりも、美味しい料理を
 期待するつもりですよ。美味しかったですけどね。


 それよりも、どうやらアイツはもうすでに”いる”らしいです。
 瑠姫と合流した時、人ごみにまぎれてアイツは”見て”いました。
 油断していました、完全に俺の不注意です。
 冬摩も、俺の反応に気を取られて気づかなかったみたいです。
 きっと、また瑠姫の大切な物を狙うでしょう。
 アイツは、瑠姫が結婚してからそのチャンスを着々と待っていましたから。


 ですから、協力お願いします。
 アイツの、思い通りにはさせたくありません……!!!!


 


 ―― 続く。
プロフィール

myuu-0240

Author:myuu-0240
AnAnやQMA等、アーケードゲームに侵食されている

中身の日記です。

基本、色々だべっててまとまりはない←





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(2,20更新)





雑食が酷くなってる今日このごろ。どうしよう(ぁ)




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