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「私の家に、新しい家族が来ました」1






久しぶりにブログ見たら、スポンサーサイトがついていました(ぇ)





と言うわけで、ずっと前から何気に書き溜めてあった
連載の一角をやっと公開、本当はもっと書き上げたかったんですが
このままだと、いつ公開するかわからなくなるもので…;
なので、予告していた小説をいまさらうpしてみるテストです。



尚、今回からカードネームではなくそれぞれ、家族メンバーの本名で書いて行きます。
なので、最初はキャラ紹介も含めて掲載しております。
(本当はぴくしぶに載せる予定だったのは内緒。)
一応予定ではギャグ:シリアス=6;4の予定だったり。
何気に妄想爆裂&暗い要素アリ含みます。要注意。



それでは、見たい方のみ追記からどうぞ。



 登場人物


 氷柱 瑠姫(つらら るき) カードネーム:ice


 22歳。カフェレストラン『Answer』のホール担当のポニテ。
 大人しく、そして礼儀正しいポニテのイメージとはかけ離れたポニテ。
 普段は比較的笑顔の似合う大人しい子に見られがちだが、実際は
 結構頑固であったり、行動力が半端なかったりと破天荒な一面もある。即婚者。



 藤柴 冬摩(ふじしば とうま) カードネーム:とーま


 24歳。医大生&カフェレストラン『Answer』のキッチン担当のモヒ。
 基本微笑まず、仏頂面、若干筋肉質の高身長な為
 クールやら冷たく見られがちだが実は、若干女性恐怖症持ち&小動物大好き、
 そして、コンタクトが怖いから眼鏡。とイメージとかけ離れた印象を持つ。いわゆるヘタレ。
 瑠姫とはよく喧嘩をするが、仲は良い。年下の恋人持ち。



 二階堂 煉斗(にかいどう れんと) カードネーム:たまごごはん


 19歳。大学生&カフェレストラン『Answer』のホール担当のデフォ男。
 基本活発で、人懐っこい性格。猿並にやんちゃな部分がある。
 はっちゃけると周りが見えなくなる事があり、それ故よく注意される。
 性格と裏腹に頭はいいが、英語だけは壊滅的。綺麗な大人のお姉さんが好み。



 綾辻 慎(あやつじ まこと) カードネーム:慎


 28歳。カフェレストラン『Answer』のキッチン担当であり、デザート担当のロン毛。
 背が高くイケメンらしいが、性格は悪く人をからかったり悪戯するのが大好き。
 だが恋愛間に関してはかなり厳しく、遊びの恋愛をとにかく嫌う思考がある。
 一時期記憶喪失の時があったが、今は全て思い出している。煉斗や瑠姫を可愛がっているがなかなか伝わらない。



 二階堂 聖(にかいどう ひじり) カードネーム:○無問題X○


 34歳。カフェレストラン『Answer』のキッチンをまとめる存在のヒゲ。
 ごつい外見とは裏腹に、普段は温厚で優しい性格のお父さん気質。だが怒るとメンバーの誰よりも怖い。
 不真面目な事を基本的に嫌い、時には瑠姫達を厳しく叱る事も。冬摩曰く「怒ると般若。」
 詩織には恋愛感情を抱いているものの、立場故思いは伝えていない。だが……。
 煉斗とは一応義理の親子関係に当たる(養子縁組)



 詩織(しおり)


 34歳。カフェレストラン『Answer』のオーナーのセミロング。
 元はとある大企業の娘であり働く必要がないらしいのだが、自ら父の展開する会社の事業に参加し今に至る。
 誰もが憧れるボディを持つが、若干高慢な態度が見え隠れする為一部の人からは敵とみなされている。
 だが実際は寂しがり屋であり、出かける時はかならず聖と共に出かけている。  




 氷柱 時兎(つらら ときと)


 24歳。デフォ子…ではなくデフォ子の男体化。フリーター。
 瑠姫の叔父であり、兄弟のような関係でもあった青年。
 基本楽観主義で、よくハメをはずす。敵意を感じる相手にはとことん噛み付く癖もある。
 よく女性と間違われるが、それを何か楽しんでいるようにも見える。
 瑠姫の働くカフェレストランのウェイターとして働く予定との事。





――――――――




 アンサー協会の手違い、事件はそこから始まった。
 いや、事件と言ったら可笑しいのだが、事故と言っても可笑しいだろう。
 本来ならば、このような事態は起こる事はないらしい。今回は稀なパターンだと言う。
 だとしても、この手違いはアンサー協会にはダメージが大きいのではないか。
 いや、それはプレイヤーには関係のない事なのかもしれないけれど。
 よく、食品サンプルと実物が違う物と言うのは聞いた事はある。まさにそのパターンかもしれない。
 だとしても、今回は実物と違うってレベルじゃない。なぜなら……。



 「なぁーん……。」
 目の前にいるこの子は、生きているからだ。




 『 私の家に、小さな家族が増えました 』




 「……えーっと、これはどう言う事でしょうか。」
 目の前にいる小さな子を見て、瑠姫は困惑していた。
 先程届いた箱に入っていた物が、予想外の物だったからだ。
 予定と違う物が届いて、困惑しない方が可笑しいと言えよう。
 本来なら、”生き物”が届く事はない。本来なら”アイテム”が届くはずだった。
 なのに、届いたのは”生き物”。明らかに”動いている”のだ。
 その子は、瑠姫達をじぃっと見つめたまま動かない。人慣れはしているのかは微妙である。
 ぴくぴくと黒耳を動かし、興味津々と言った様子でダンボール箱の中から彼らを見ている。
 たまに小さく鳴いたりもしてる。だけど、箱からは出ようとしない。
 その仕草に、癒されそうになる心を抑えながらも瑠姫は尋ねる。
 「ね、ね。これ一体どうなってるんでしょうか?分からないですか?」
 戸惑う瑠姫の言葉に、首を傾げながらも彼女の義弟である煉斗は言った。
 「いや、俺もわかんねーよ。確か、今日はタワーの景品が届くんじゃなかったのか?」
 頬を軽くポリポリ掻いて言った言葉に、瑠姫ははい、一度だけ頷いた。
 「私は、確かに子猫狙いでのぼりましたけど。ま、まさか……。」
 彼女は困惑した表情で、義兄である冬摩に目を向ける。
 「……いや、俺もこれは流石に知らん。」
 その問いには、ゆっくりと顔を横に振るだけだった。
 


 そう、今日は瑠姫が参加したタワーの賞品が届くはずだったのだ。
 2222位、と言う枠の中でもらえる”子猫”と言うアイテムが。
 今回は、今までのように柄だけ変えた同じようなデザインのTシャツや、
 賞金だけ、称号だけ、壁紙だけのタワーではなく
 頭にちょこん、と乗せられる可愛い子猫が、2222位以内に入れば手に入る。と言う事もあり
 いつもは参加効率が微妙だったタワーが、戦場と化した。
 下手すれば、ムームーが貰える大会の時よりも酷いと言われていたこの大会。
 例えタワーの陰謀だったとしても、頭にちょこんと乗る子猫の可愛さは尋常じゃない。
 今までのように帽子もデザインを変えただけの類似品、と言う訳ではない。
 途中、いくつか猫の壁紙もあったが参加者の殆どは頭の小猫狙いの人も多かっただろう。
 称号も個性的な物が多かったが、その大半は興味すら持たなかったのではないか。と言うぐらい。
 瑠姫も勿論その手に乗った口であり、ストームエリアの雷に怯えながらも
 毎日、2222位から落ちないように気をつけながらタワーを上っていたのだ。
 いつもなら、スカイエリア辺りにいけばすんなり2222位以内には入れそうな物だが、
 今回ばかりは、スカイエリアへのチェックポイントを抜けても2222位以内には入れないと言う事態。
 油断していたら、すぐに落ちる。そのような状況に陥りながらも
 プレイしていない日も、安全圏かどうか携帯でチェックしながら…と言う細かい作業をしながら、彼女は挑んでいた。
 元々可愛い物好き、そして結構自分の願望は突き通す癖がある。と言う頑固さから
 子猫の執着心は強く、その当時煉斗も冬摩も呆れながら見守っていた事もあった。
 実際二人が止めなかったのは、二人とも子猫のぬいぐるみが可愛かったから。と言うのもあったのだが……。
 そして大会終了後、2222位より400人の差を空けた所で彼女の大会は終了した。
 若干ギリギリながらも、彼女は子猫を手に入れられる権利を手に入ったのだ。
 小さくて可愛い子猫の”ぬいぐるみ”。彼女は、それを貰えると思っていたのに……。


 
 実際、目の前にいるのは”ぬいぐるみ”ではなく”本物”であった。
 届いた時から、何だか中でカサカサ動いているから可笑しいとは思った。
 だが、住所や宛先を見る限りアンサー協会から来ているのは確かだった。
 送り間違えか?と冬摩は疑っていたが、勝手に開けるのもシャクだからと
 現在、旦那と二人で住んでいる瑠姫を電話で呼び、彼女が来るのを待った。
 (と言うか、まず瑠姫の家の方に送れよ。と冬摩が思ったのは言うまでもない)
 その間も、カリカリと何かを掻く音は聞こえてたのだ。確かに。
 若干嫌な予感を感じつつ、凄くわくわくした様子の彼女を家に入れ
 そっとダンボールの蓋を開け、中身を見てみると……と言った所で今に至る。
 多分、カサカサ動いているのは起きたらここが何処か分からなくて困ったから。
 そして、カリカリ何か掻いてたのは明らか入っていたダンボール箱を掻いていた音。
 ……この時点で可笑しいと気づき、開けるべきではないと思っていたが
 早く開けましょうよ、と瑠姫がすぐに開けてしまった物だから尋ねる暇もなかった。
 その張本人は困った顔で子猫を見つめたままだし、困った物である。
 と言うか、これ空気穴ないから下手したら死んでたかもしれない。かなり強い子だ。
 「……アンサー協会、本物とは言ってなかったよな。」
 沈黙が支配する中、最初に口を開いたのは煉斗だった。
 「そうだったとしたら、2222匹も用意するって事になるぞ。
  んな馬鹿な事すると思うか。あのアンサー協会が。」
 「ですよね。でもちゃんと説明を受けた時には
  子猫と言っても、子猫のぬいぐるみなんです。って言ってましたし……。」
 そう言い、瑠姫はそっとケージから子猫を出して抱き上げる。
 そしてそのまま、膝元に寝転がせて優しく喉元を指先で撫でてみる。
 子猫は少し驚いた様子を見せていたが、心地いいのかすぐに目を瞑ってゴロゴロと喉を鳴らした。
 「だとしたら、これは完全に向こうのミスじゃんか。
  どーすんの?アンサー協会に連絡する?」
 撫でられる子猫を見ながら、煉斗は言う。ちょっと羨ましいのか撫でたそうな目で見ていたりするのだが。
 「連絡って言っても、俺らアンサー協会の電話番号とか知らないだろう。
  他に何か入ってないのか?猫以外に……。」
 そう言って、冬摩は子猫の入っていたダンボールの箱とケージを見直す。
 よく見ると、ケージの外側には便箋がテープか何かで貼り付けてあった。
 青色の便箋に、アンサー協会と書かれた黒いシールが貼られている。
 便箋の裏には、『子猫が当たった方へ』と書かれていた。
 丁寧な文字から、ふざけた内容ではない事が物語っている。悪戯目的ではないらしい。
 首を傾げながらも、冬摩は瑠姫に手紙が貼ってあった事を伝える。
 「この猫ちゃんについて、何か書いてあるんでしょうか。見てみましょうよ。」
 瑠姫のその言葉に、言われなくても。と言うように冬摩は頷いて、手紙を空ける。
 そこには、丁寧な字で書かれていた手紙が一枚入っていた。



 『2222位以内入賞おめでとうございます!

  お約束の品として、頭装備の子猫のぬいぐるみを同封させてもらいます。
  これで、クイズの時も可愛い子猫ちゃんと一緒に
  癒されつつも、クイズが出来ますよ!
  ぬこに癒されたライバルを、そのままノックアウトしちゃいましょう!

  貴方のクイズライフに幸あれ☆ 


  アンサー協会 』



 「……終わり、ですか?」
 一枚の紙に書かれた、たった数行の言葉に瑠姫は唖然とする。
 内容も内容だが、この生き物に関しては何も書いてる様子はない。
 冬摩は何度もその紙に目を通すが、他に文字はない。
 本当に、それだけしか書いてないのだ。
 そして、若干言いづらそうに冬摩は瑠姫の方を向いて、言った。
 「……終わり、だ。」
 「…………。」
 その言葉に、一瞬沈黙がその場を覆った。
 子猫に関しては、その沈黙を気にしないと言わんばかりに瑠姫の膝で丸まっている。
 ぽかん、とした表情で冬摩を見ていた煉斗だったが、ハッと我に返ったように叫ぶ。
 「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!!
  それって、完全に俺らに押し付けてるじゃねぇか!!
  完全に、意図的に俺らに押し付けて世話放棄してるって事じゃねぇのか?!」
 「いや、そ、そうとは限りませんよ?
  定型文ですし、それに多分向こうも気づいてないかと……。」
 「いやいや、最近自重しないって評判のアンサー協会だぜ!
  ぜーーーったい、あえてこう言う事してるって!!」
 何とか止めようとする瑠姫に、煉斗が落ち着く事はなく思いっきりバンッ!と床を叩いてしまう。
 その衝撃で、子猫は全身を震わせて驚き瑠姫の方に顔を埋めてしまった。
 それに気づいた煉斗は、ばつが悪そうにしつつもごめん。と小声で謝った。
 冬摩はその様子を見ながら、はぁ。とわざと大きくため息をついてみせる。
 他にもないだろうか、と手紙や封筒の中を探すが入っていたのはこの一枚だけらしい。
 「多分、配送する時にぬいぐるみの中に紛れ込んだんだろうな。
  見た感じ、こいつ多分野良だし。」
 瑠姫の隣に移動しつつ、冬摩は子猫の方を見る。
 よく見ると、若干毛並みが乱れている。首輪の痕もない。
 「ぬいぐるみに野良が混じるって、どんだけアンサー協会警備手薄なんだよ……。」
 「知るか。とりあえずこいつは事故に巻き込まれただけって事になるだけだ。」
 「事故に巻き込まれただけって、確かにそれ以外に言い様はないけど……。」
 「そう思っておけ、考えていてもキリがないだけだ。」
 そんな冬摩の考えも知らない子猫は、瑠姫の膝で膝元でごろん、とお腹を出して寝転がる。
 そしてお腹を撫でて、と言うように小さくなぁん。と鳴いた。
 瑠姫は、そんな子猫のお腹を指で優しく撫でていく。 
 「だとしたら、お母さんとはぐれちゃったんでしょうか。
  この子、見た感じまだ小さいですよ?」
 「だろうな。多分母親との散歩中に何か面白そうな物を見つけて
  追いかけたら……こうなったとしか。」
 「そうなんですか……。」
 指先でそっとお腹から、喉元にすっと撫でていく。
 不意に口元に触れた瞬間、子猫は瑠姫の指を自分の両手でぎゅっと握り締めた。
 そしてそのまま、ちろちろと舐めていく。擽ったさに、思わずくすっと笑ってしまう。
 「ったく、俺らがこんなに真剣に話してるってのにこいつは呑気だな。」
 「まだちっこいもん、分かんないよ。」
 そう言って俺も撫でたいなー、と呟く煉斗。
 驚かさないならいいですよ。とそっと煉斗に子猫を近づける瑠姫。
 今度は驚かせないように、そっと額を指先で撫でると嬉しそうになぁん。と鳴いた。
 その言葉と行動がまさに呑気なんだけどな、と冬摩は思ったがあえて口には出さなかった。



 「で、どうすんのこの子。」
 ひとしきり撫でた後、すやすやと眠る子猫を見ながら煉斗は言う。
 「本来なら、アンサー協会に電話するべきなんだが……。」
 冬摩はそう呟きつつ、瑠姫の方をちらっと見る。
 かなり愛着が沸いたのか、その呟きには何かしら不満そうな表情を浮かべた。
 「そうなったら、この子はどうなるんですか?
  下手したら、保健所行きって事も考えられるんですよ?」
 それは駄目です、と言わんばかりに強い眼差しで見つめる瑠姫。
 一瞬怯みそうになるが、冬摩は冷静を保ちつつ答える。
 「そうとは限らんだろう。」
 「でも、テレビではよく毒ガス処分とかあるじゃないですか。
  野良とか、結構近所の人とか電話して処理してくれって言うパターンもありますよ。」
 「いや、それはあくまでテレビの話であって。」
 「と に か く!!保健所行きルートだけは駄目です!!!」
 保健所、その言葉を否定するかのように強く言う瑠姫。
 若干何かに引っかかりつつも、冬摩はわざとらしく大きくため息をついた。
 「……だったら、他に方法があるって言うのか?」
 冬摩の言葉に、一瞬悩む瑠姫だったが何かしら覚悟は決めていたのか
 真剣な眼差しを向けつつ、答えた。
 「この子は、私が飼います。」
 「!!!!」
 その言葉に、冬摩は目を丸くして驚く。
 驚かれる事は想定内だったのか、瑠姫の表情は変わらない。
 「ちょ、ちょっと待って。ねーちゃんそれ本気なの……?」
 煉斗も驚いているのか、恐る恐る尋ねる。
 「本気ですよ。だってこんな小さい子。ほっておけないじゃないですか。」
 何を今更、と言うように瑠姫はふん、と鼻を鳴らして煉斗に言う。
 一瞬目を丸くした冬摩だったが、何とか冷静になろうと
 頭を掻きつつも、瑠姫に尋ねた。
 「……それはいいが、その場合お前だけの意思じゃ飼う事は出来んぞ。
  大体、旦那さんにどう説明するつもりだ。いきなり猫飼うから!とか言って
  勝手に決められる問題でもないだろう。」
 冷静に言う冬摩の言葉に、瑠姫は思わず口噤む。
 瑠姫が今住む家は、自分ひとりの物ではなく旦那と住む家だ。
 それに、今彼は仕事の都合で出張に出かけており、かれこれ数日は家に帰って来ない。
 瑠姫がたまに帰ってくるこの家も、レストラン経営者がいる事もあり
 衛生上の問題が出てくる。そして、今その経営者は外国に旅行中。
 その事を考えると、安易に飼う。なんて言えるはずがない……しかし。
 「……彼には、追々説明します。」
 「説明して、納得いかなかったら?」
 「もし無理なら、里親も探します。だけど、今この子を手放しちゃうと
  どうなっちゃうか分からないでしょう。お母さんも何処にいるか分からないのに……。」
 そっと指先で、頭を撫でながら瑠姫は呟く。
 子猫は、彼らが相談している事も気づかないかのように小さく寝息を立てて眠っている。 
 こんな小さな命なのに、ほおっておけるはずがない。そう言うように目はじっと冬摩を見つめている。
 瑠姫と知り合ってから数年経つが、昔からこの癖は変わっていない。
 どこか正義感が強く、どこか頑固。多分今回も譲る気はないだろう。
 煉斗もそれは分かっているらしい、目を逸らして何も言わない。
 と言うか、言い返せないのだ。大抵言い返そうとすると負けるパターンが殆どだから。
 それほど、彼は義姉に弱い。と言うか甘い。
 そして、自分も甘いのだ。瑠姫の真剣な眼差しに負けそうになっている。
 無理やり意見を通せば、何とかなるかもしれない。だけどこの子猫を見てるとそうは行かなくて。
 「……ったく。」
 はぁーっ、と大きくため息をつき、冬摩は瑠姫に言った。
 「……分かった。俺もどうにかする。
  とりあえず、一応里親も探す前提だからな。」
 そう呟いて、瑠姫の真剣さに負けた。と言う意思表示を見せた。
 その言葉を聞いて安心したのか、瑠姫は柔らかく微笑みながら頷いた。



 とは言ったものの、どうしたものか。
 決意してから数時間、冬摩は結局良い案は浮かばぬまま夜を迎えた。
 とりあえず、まずは腹ごしらえからだろう。と子猫にご飯をあげる事にした。
 (その際、子猫の餌ないからと言って、煉斗がダッシュでご飯買いに行ったのは別の話)
 そして今現在、飼うと決めた張本人が猫の身体を洗う、と言って、子猫はお風呂場に行っている。
 その間に、何か考え付いたらと思っていたが見事に何も思い浮かばずの状態であった。
 ……まぁ、思いつかなかった原因は自分にあるのだが。
 「(……あんな可愛い子見てたら、すっかり事の重大さを考えるの忘れてた。)」
 頬杖を突きながら、テーブルを指でカツカツ叩きつつそう思う。
 そう、冬摩はこの家族面子中でも無類の動物好きであり、猫好きであった。
 彼の使っている部屋は、基本単色殺風景な部屋だが
 大きな本棚にあるカバーがついてある本には、実は猫の写真集や動物の赤ちゃんの写真集がたくさんある。
 実質本屋に行くと、本を買うついでに動物の写真集を買ってしまうという事も少なくはない。
 ペットショップに行けば言わずもがな、当然子犬や子猫のケージの中で暫く止まる事もある。
 外見からして結構ごつめ、更にソフトモヒカン頭の高身長の男が無表情ながらも幸せそうに見るその姿は
 もはや、冬摩がよく行っているペットショップでの一種の名物となっているぐらいだ。
 そんな彼が、目の前の可愛い子猫を相手に平常心でいられるわけがない。
 実質、認めてしまったのも瑠姫に勝てないのもあったが、その子猫が可愛かった。と言う
 単純な理由があったからで……。
 そんな事を考えつつも少しして、我に返った後再び本題へと戻る。
 「(ああは言ったものの、多分衛生管理とか注意するならって理由なら普通に飼えそうなんだよな。
   店とかに連れて来たりして、菌とかが入らないようにするならとかで……。)」
 何だかんだ言って、瑠姫には結構甘い人達だ。普通に許すとは思う。
 だが、何かが引っかかったのだ。あの時の瑠姫の表情を見た時に。
 「(と言うか、保健所。と言う言葉に引っかかっていたな。何かあるんだろうか。)」
 異論は認めない、と言うように言っていた彼女。普段から頑固な所があるとは言えあそこまで頑固になるのは滅多にない。
 目を見れば分かる、無理やり通せばと思ったけれど……。
 「(……ぬいぐるみを期待してた癖に、訳分からん。)」
 飲んでいた麦茶を一気に飲み干し、そのまま氷を口に含む。
 そしてそのまま、もどかしさからか勢いよくガリッと氷を口で砕いた。
 



 これが、彼らと子猫の出会いである。
 そして、これから猫をめぐる事件は始まるのであった。





続く(次回更新4月下旬~5月上旬予定)


プロフィール

myuu-0240

Author:myuu-0240
AnAnやQMA等、アーケードゲームに侵食されている

中身の日記です。

基本、色々だべっててまとまりはない←





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(2,20更新)





雑食が酷くなってる今日このごろ。どうしよう(ぁ)




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